校長室より「6月前半」の鳩高生への応援メッセージ
必死になる!
~ 本気の自分に出会う。キーワードは“必死”になる!~
鳩高生のみなさん、こんにちは。校長の田中です。6月になりました。一学年だけの学校生活にも慣れたようですね。私の目には「これも悪くない」、「自分なりのリズムが心地よい」、そんな鳩高生として映っています。
さて今回は、「必死になる」をテーマに語ろうと思います。「必死になる」、というキーワードを何としても鳩高生のみなさんに届けたかったきっかけは、「千鳥の鬼レンチャン」というテレビ番組です。少し前の放送で「女子300m走」という企画がありました。参加した走り自慢の女子12人が、ひとレースごとにビリになった一人が脱落していくガチンコのサバイバルレースです。一人、また一人とふるい落とされ、残った5人が決勝進出をかけた8レース目が今、まさに始まろうとしています。
ちょっと整理します。12人で走った第1レース目の300m走。12人中12位となった一人が脱落して11人となる。第2レースで11人から10人となり、9人、8人・・・。6人から5人に絞られるのが第7レース。そして300m走、8レース目という言い方が、イメージしやすいか、それともこの日、8回目=8本目の300m走と言った方が分かりやすいでしょうか?
鳩高生のみなさん、ちょっと考えてみてください。一つのレースが終わってからインターバル(時間的な間隔)をとるものの、勝負を賭けて300mを8本も走るなど、想像できますか?その8本のレースも実は2レース目に大接戦がありました。ゴールの瞬間は、陸上の100m走などで接戦の時にでてくるあれです。写真判定するコマ送り画面で3人が全くの同着だったため、再レースとなったのです。これがオリンピック競技などであったら、画像をさらに拡大して白黒つけると思いますが、それでも同着と言って過言ではないレベルだったと思います。従って走った回数自体は9回目の300m走。走りに自信のある面々とはいえ、疲労の色は濃く、一つのレースが終わるたびに大きく肩で息をしながら呼吸を整える選手たち。それぞれに、ベンチに足を乗せて疲労した筋肉を緩めたり、温度差のある水に交互に足を浸したり、酸素スプレーで酸素補給したり、まぢかに迫る次のレースに向けて出来得る限りの準備をしていました。こんな満身創痍の状態でも目の前のレースに全力を尽くす!何という猛者ぞろい!私はテレビに完全に釘付けとなっていました。
準決勝を前にスタートラインに立っている勇者は、フィットネス・トレーナーのAYA。マラソン女王というテロップ(画面上にのせる文字情報)の福島和可菜、モデルのギャビー、松竹芸能、森脇の愛弟子、くわがた心、そして悪役プロレスラーの上谷(かみたに)沙弥の5人。このレースで一人が脱落する。さあ、号砲!ギャビーがフライング気味に飛び出す。レース後、森脇が、この積極果敢な姿勢を高く評価していた。タイムレースではなく事実上のサバイバルレース。フライング気味など大したことではない。むしろ「モデルだってこれだけやれる」、というところを証明したいギャビーの必死さが伝わってきました。最終コーナーを回ってプロレスラーの上谷とくわがた心がデットヒート。手に汗にぎる大接戦のこのレースで惜しくもくわがた心が脱落した。悔しさのあまり涙にむせびながらのコメントは、「気持ちは前に行っているんですけど、足が動かなかった」と。
鳩高生のみなさん!苦しくても頑張って全力を出し切って走った後のある種の達成感と後悔と、・・・。その気持ち、分かるのではないでしょうか。テレビの前の私は完全に引き込まれていた。その場にいたらどんな言葉をかけたらよいか困るようなそのそばで別のドラマもあった。「上谷スゲー!スゴイよ、マジで凄(すご)いよ!」と、ブービー(ビリから2番目)で生き残った上谷沙弥のもとに仲間の2人の悪役レスラーが、感情をあらわに駆け寄った。上谷は、まだ息が整わない中、「死ぬー!、しんどい、ツラい。最後無理かもって思ったけど、ギリギリ・・・」と、決勝に残れた喜びを表現した。金髪でデビルマンかアメリカのハード・ロック・バンドのKISSを思わせる派手なメイクの上谷の相棒、悪役プロレスラー2人を紹介しよう。一人は上谷を含めた3人の中の親分。悪役として人気を博し、一時代を築いたダンプ松本の後継者の刀羅(とうら)。そしてもう一人は若いレスラー、琉悪夏(るあか)。琉悪夏はいかにも女子らしい労いの言葉をかけていた。これを見たスタジオのかまいたちの山内は「友達の女子やん!」、千鳥の大悟は「焼肉、連れて行ってやりたい!」とつぶやいた。悪役レスラーは、あくまで仕事上の役割。この若き勇者たちは、それくらい人間味あふれる純な姿を見せてくれた。
ガチンコ勝負、とはいえバラエティー番組。細部にわたっておもしろおかしく、また、感動的に作りあげる面も当然あると思います。それでも300m走、本気で走って、本気で競って、本気で戦って、必死に出し切っても及ばず流した涙、必死に食らいついて出し尽くして勝った涙は、本物だと思う。この必死さ、本気さがテレビの前の多くの視聴者を釘付けにして感動したのは私だけではないはずです。
まだ鬼レンチャンのレースは終わっていない!最後の決勝レース(300m走、実質10本目!)を前に4人のコメント。「モデルは見た目だけじゃなくて、根性があるってとこを見せたい!」というギャビー。「今までトレーニングで培った筋肉を信じて最後まで走り抜けたい!」というAYA。「プロレス界、千鳥の鬼レンチャンに史上最大の悪夢を見せてやるよ!」と息巻く上谷沙弥。自衛隊員を辞めてタレント活動を始めるも日の目を見ない日々を越えて走ることと出逢った福島和可菜は「今まで走ってきた距離、ランニング愛は絶対に負けない!」と目を輝かせて言った。
そして決勝レースの号砲!絶対王者と目された福島和可菜が何と、ゴール目前でAYAにさされた。フィットネス・トレーナーAYA、鬼レンチャン、優勝!!福島は思わぬ不覚に笑顔を保ったが、「やっちまった」という後悔してもしきれない言葉に悔しさ、無念さがにじんでいた。ギャビーは潔く敗者の弁。上谷も出し切ったすがすがしさを体全体で表現していた。プロレスラー上谷沙弥は、この番組で、ある種、全てを見せてくれた。こんなコメントをして悪役としての不動の地位が危うくなってしまったら申し訳ないと思いますが、人間上谷は、どこにでもいる普通の女性の素顔を見せてくれました。かつてアイドル志望の少女がたどりついたのはプロレスの世界、それも悪役。選手を紹介するVTRに多くの人が普通の少女の苦悩と希望を見たと思います。肝心なところでは常に悪役を演じていましたが、派手なメイクの顔をくしゃくしゃにして涙したり、実は優しく性格のよい女子の顔を随所で見せてくれたことが、本気さ、必死さとなって伝わってきました。頑張れ!上谷!
鳩高生のみなさん!改めて、人の心を動かすのは「本気さ、必死さ」だと思います。もちろん365日必死では倒れてしまいます。本気というエリアの中で自分のエネルギーを上手にコントロールしつつ、ここぞという時に「必死」になってみなさんにとって価値あるもの、例えば、行ける進路ではなく、行きたい進路を実現してほしいと思います。みなさんが17年・18年の人生で培ってきた知識・技能を総動員して、本気になって、必死になって思考・判断して表現できるよう準備を怠(おこた)らないでください。
最後に優勝したAYAさんが準決勝を前に語った言葉を紹介します。準決勝に残ったAYAに番組スタッフがマイクを向けると「(肩で大きく息をしながら)・・・迫ってくる感じ。怖いよ・・・」。続けて、「自信はありますか?」という問いに「自信があると言いましょう!」と自分自身を奮い立たせていました。注目すべきは、大きな勝負を前に素直に「怖いよ」と言っていたことです。人間誰しも負けるかもしれない、失敗するかもしれない、という気持ちがちらつくことがあると思います。だからこそ「自信があると言いましょう」となるのだと思いますが、「怖い」と感じている自分を認められるからこそ、次の一手に全力で臨めるのだと思います。みなさんも自分を奮い立たせ、励ますことがあると思います。そしてその前にはAYAさんのように怖かったり、不安だったりすると思います。その怖さ、不安である自分を認めて、不安である自分を引き受けて、次のステージに進んで行ってほしいと願っています。日々、陰に日向にみなさんを応援しています。
次回の応援メッセージは、6月16日(月)にアップします。また、このホームページで会いましょう!