校長室より「8月前半」の鳩高生への応援メッセージ
そして、私たちは“戦慄”する!
鳩高生のみなさん、こんにちは。校長の田中です。夏季休業に入ってから一層の猛暑。暑さ対策に気をとられているうちに気づけば、本日から早くも8月。1学期の終業式後、14日目、2週間となります。月日が経つのは何と早いこ とか、何はさておき、少しというか、かなり大袈裟かもしれませんが、私はこれに「戦慄」しました!
さて今回の応援メッセージは、表題のちょっと怖そうな語句について少しだけ深掘ってみたいと思います。さっそく「戦慄」、何と読みますか?
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これは「読みにくい漢字」の一つとされ、とある調査では「3人に1人が読めない漢字」といわれています。・・・、そうです。「せんりつ」と読みます。読めた人、素晴しい!ドヤ顔せず、冷静にかつ謙虚な姿勢を保ちつつ、自分の語彙力(ごいりょく)を褒(ほ)めてあげてください。読めた人も惜しくも読めなかった人も、どこかでこの漢字と出くわしているかもしれません。「戦慄の貴公子」…は、ちょっと古いですか。かつてマイケル・ジャクソンとともにスター街道を駆け上ったプリンスのアルバムの日本向けタイトルです。今は「アルバム」と言っても伝わらないですね。「あの丸い円盤みたいな、・・・。何でしたっけ?AB・・・」、「CD!」。今となってはCDもオワコンですね。今は、ストリーミング?とかですか。話が脱線してしまいました。「戦慄」に戻しましょう。そうそう、生徒の皆さんが触れているかもしれないのは、「戦慄のエチュード」でしょうか?
「戦慄」とは、広辞苑 第七版/岩波書店によると「恐ろしくて、おののきふるえること。おそれて身ぶるいすること」とあります。強い恐怖や驚き、あるいはそれによって体や心が震えるような状態を意味しますから、用法例としては、ホラー映画やスリラー小説などを想像するとイメージしやすいと思います。「戦慄の事実」、「戦慄の映像」、「戦慄すべき事実が発覚した」、「その話を聞いて戦慄がはしった」、「彼の冷静な目に戦慄を覚えた」などが一般的な「戦慄」正しい用法例といえます。
上記のような一般的な用法に加えて一部のケースでは、戦慄は、感動に近い感情の震えとして使われることもあります。音楽や芸術作品などに対して「深い感動とともに戦慄を覚える」というような使い方です。この規格外に凄い用法例に出会いました。BSテレビに『3行、読んでみた』、という番組があります。CMを入れても、ほんの5分足らずの番組ですが、様々な大手の書店の店員さんたちがナビゲーターとなってお勧め本、感動した本を紹介する番組です。ある回で小川 哲(おがわ さとし)著、『君のクイズ』という本を紹介していました。ネタバレになりますが、ストーリーは次のようなものです。主人公は、あるクイズ番組に出場し、ファイナルステージに進出します。優勝をかけた最後の問題で、まだ一文字も問題が読まれていない中、対戦相手が正解して優勝を果たします。なぜ、正解できたのか?主人公は、その真相を解明すべく、決勝戦で出題された問題を一問ずつ振り返る。その過程で主人公自らの人生も振り返ることとなる。そして、単なるクイズの強さだけでは説明できない真相が見えてくる。振り返っていく中で主人公が幼少期に読んだ本を思い返すシーンもある。そうした生きてきた経験値がクイズの強さに繋がるということにも気づく。そしてつぶやく。
『クイズに答えているとき、自分という金網を使って、世界をすくいあげているような気分になることがある。僕らちが生きるということは、金網を大きく、目を細かくしていくことだ。今まで気づかなかった世界の豊かさに気づくようになり、僕たちは戦慄する。戦慄の数がクイズの強さになる。』
これはクイズに限らず、私たちは日々、著者、小川哲さんも言葉を借りれば、自分という金網をすくい上げて生きているのではないでしょうか。日々様々なことを学ぶことによって、この金網の性能を少しずつよいものにしていかないと世の中に順応して生きていくことができないのだと思います。金網の性能をよくするとは、著者も言葉を借りれば、金網を大きくしていくこと。つまり学校での勉強はじめ様々な知識や技能、経験を積むことによって、この世界の多くの有益なこと、ものに触れ、感性を磨き、自分自身が成長していくこと。さらに金網の目を細かくしていく。それまでザルで、見たり聞いたりして学んだつもりが、大きな網の目から抜け落ちてしまって身に付くことがなかった状態から、金網の目を細かくしていくことによって、より多くのことをキャッチできるようになる。特に心に響くような事象をしっかりキャッチして世界の豊かさに気づく。そのことによって無知な自分から一歩成長できる。そんな震えるような感動を著者に倣(なら)って「戦慄」と表現してみましょう。
1学期の終業式でこんな話をしたことを覚えていますか?
進路実現について、しっかり取り組む。また、普段できない心を豊かにするような時間を持つ。「やり切った!」、「楽しかった!」そんな夏休みにしてほしい。そして2学期、元気な顔を見せてほしい、という話でまとめました。鳩高生のみなさん、この夏、是非「戦慄」してほしい。感動に近い感情の震えを感じるほどの「戦慄」を体感してほしい。日常の学校生活とは違った時間を刻む夏休みは最高の機会かもしれません。生徒のみなさん全員に共通するテーマは、「自分自身の進路に真剣に向き合う」ことだと思います。それを日々考え、深掘って、深掘って、深掘ることによって「戦慄」できるかもしれません。今まで気づかなかった世界の豊かさに触れてほしいと思います。そんな夏を「やり切った!」、「楽しかった!」と表現して鳩高生のみなさんに伝えました。日々、みなさんの健闘を応援しています。
次回の応援メッセージは、学校閉庁日(サマーリフレッシュ・ウィーク)明けの8月18日(月)にアップします。このホームページで会いましょう!