校長から

校長室より「9月後半」の鳩高生への応援メッセージ

勉強」と「仕事」は、どこでつながるのか?

~『16歳の教科書』より~

 こんにちは、校長の田中です。いよいよ就職希望者は本日から就職試験が始まります。これまで培ってきた全ての力を総動員して乗り越えて行ってほしいと思います。

 さて、今回は進路選択を目の前に控えたみなさんにとって、毎日、取り組んでいる勉強と仕事は、どこでつながっているのか?ドラゴン桜、公式副読本である『16歳の教科書』に登場する各界のスペシャリストから学びたいと思いま す。まずは、奇跡のジャズシンガーと呼ばれる綾戸智恵(あやと ちえ)。綾戸さん曰(いわ)く、学校の勉強は、「心の体育」である。学校では頭を鍛えるんじゃなくて、心を鍛えているのよ、と。実際、高校を卒業したら、ほとんどと言ってよいくらいお目にかからない教科・科目の内容もあります。その意味では、確かに「心の体育」、仕事に向かう心を鍛えていると言えそうです。

 続いて「渋滞学」を系統立てた西成活裕(にしなり かつひろ)。車や人が渋滞してしまうメカニズムを数学や物理の力で解き明かし、どうすれば渋滞を解消するか考えていこうという学問分野を切り開いた人です。西成さんは、学校の勉強で、「ん?なに言ってんだろう、これ?」って思ったとき、絶対に素通りしない。少しでも引っかかるところがあったら、どれだけ時間がかかっても、自分の力で解決する。キーワードは「なぜ?」。「なぜ」を自分自身に5回問え!』。なぜ、こうなのか?「Aだからだ」。なるほど。それではなぜ、Aなのか?「Bだからだ」。こうやって、「なぜ?」を5回くり返していく。引っかかった原因を、根っこの部分まで掘り起こしていく。もしも3回目の「なぜ?」で答えが詰まったとしたら、それは本質がわかっていない証拠である、と。本質がわかっていなければ、将来、使えないと言っています。続けて、たいていの人は1回の「なぜ?」で終わってしまう。5回くり返す習慣をつけてほしい。そして、この習慣は大人になってからも必ず役に立ちます、と。「なぜ?」を5回くり返すこと、是非、チャレンジしてみてください。一つ付け加えます。5回、深掘る最初の入り口、「ん?なに言ってんだろう、これ?」って思ったとき、絶対に素通りしない。少しでも引っかかるところがあったら、どれだけ時間がかかっても、自分の力で解決するように教えていますが、時間をかけて自分の力でひねり出せなかったら、また、ひねり出したものが自分として納得できる範囲になかったら、是非、身近な人に聞いてみてください。また、先生方に尋ねてみてください。これこそ、勉強を将来の仕事につなげる入口になると思います。

 勉強と仕事はどこでつながるのか?もう一人。映画監督の李相日(リ・サンイル)。今年2025年、日本で社会現象となり、8月の時点で邦画(日本映画)実写史上2位の興行収入を記録している『国宝』を制作した監督です。日本の伝統芸能、歌舞伎を題材にした作品で、主演は吉沢亮(よしざわ りょう)。吉沢亮といえば、仮面ライダーフォーゼで少年たちのヒーローになってから、『キングダム』の実写版では秦の始皇帝役を演じ、2021年・令和3年にはNHK大河ドラマ『晴天を衝け』で日本資本主義の父と称され、現一万円紙幣の肖像となっている渋沢栄一を演じた今や日本を代表する俳優です。また、共に高めあうライバル役に今年のNHK大河ドラマ『べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~』主演の横浜流星が抜擢され熱演しています。

 話を戻します。スポットを当てるのは、この映画『国宝』の李相日(リ・サンイル)監督。李相日さんは、今でこそ映画監督、それも功成り名を挙げた大映画監督ですが、高校生の頃は、映画監督になりたいと思ったこともなかったし、そもそも、ものすごい映画ファンというわけでもなかった。特別やりたいこともないまま、自分の将来について深く考えることもないまま、ぼんやりすごしていた、と言っています。それでも大学に入って就職のシーズンになるとのんきにもしていられず、一応、リクルート用スーツを買って、就職活動らしいものをやって終わった、といいます。併行して、「じゃあ、自分はなにがやりたいんだ?」そう自問自答したとき、かろうじて出てきた答えが“映画”だったそうです。それも積極的に「映画がやりたい!」と考えたというより、映画くらいしか思いつかなかった、という感じだったとのこと。でも、どうすれば映画の世界で働けるのかわからない。そこで、とりあえず映画の製作や配給をやっている会社に飛び込んでいって、アルバイトとして撮影現場に入れてもらったことが映画監督、李相日の第一歩でした。この『16歳の教科書』による特別講義は2009年の出版ですから、今から16~17年前の取材によるものです。

 鳩高生、刮目(かつもく)せよ!鳩高生のみなさんに知っておいてほしいことは、映画『国宝』の監督、李相日(リ・サンイル)さんは、若いうちから衆にぬきんでて優れた映画エリートという訳ではなかったことです。たしかに30代はじめに、映画『フラガール』で日本アカデミー賞、最優秀作品賞、監督賞、脚本賞を受賞したということにおいては映画エリートとも言えそうですが、思い出してください。「自分は何がやりたいんだ」と自問自答した時、かろうじて出てきた“映画”というものを前にして、アルバイトから始めて、目の前のことに一つ一つ夢中で取り組んできた結果が、今日の李相日をつくったという事実を。

 鳩高生よ!もう一度いいます。就職、進学はじめ自分の選んだ道。目の前のことに一つ一つ夢中になって取り組んでみてください。夢中になって取り組んだ先に、新たな扉があるはずです。そしてその扉は今現在、想像すらしていないものかもしれません。きっとみなさんを最高に輝かせる未来が待っています。応援しています!

 次回は、10月1日(水)にアップします。このホームページで会いましょう。